マイフレンド

私が働くデパートで「あるある」のテクニックが、

ハ〜イ！マイフレン〜ド♪

という言葉。

一部の美容部員はこの言葉をよく使う。

最初の頃はこれによう騙された。


例えば私が接客をしている時でも、
彼女らは

ハ〜イ！マイフレン〜ド！
と客に話しかけ、割り込んで来るのだ。

これに似たテクニックとしては、

あら、お久しぶり！どうしてました〜？

と、長年の知り合いのように話しかけるテクニック。

どちらのテクニックも、満面の笑みが必須だが、
目は笑っていないのが特徴だ。

ちょっとだけ知ってる場合もあるが、
初対面の相手にだって、
金を使いそうな客と見たら
「ハ〜イ！マイフレン〜ド！」
と割って入ってくる。

言われた客の方も、相手があまりにも
「あなたのことよく知ってるわよ顔」しているので、
知らんけどなぁ、と思いつつも
「あんたのこと知りません」とも言えないのだろう。

うだうだしているうちに
私は客を取られてしまう。

そして、最後に彼女らは客にこう言うのだ。

「これが私の名刺です。ここに電話番号があるので、
何かありましたら、いつでもお電話くださいね。
そうそう、あなたのお名前とご住所、メアド、電話番号も
教えていただけますか？」

おいっ！マイフレンドやったんちゃうんかいっ？！

と、私がいくら心の中で叫んでも
後の祭りである。

客もセールスも取られてしもた後だ。

こんなテクニック、他の店では見たことなかったし、
北部で働いていた時も見たことがなかった。

シャークタンクと呼ばれるこの店だけなんやろか。

今はさすがに私も慣れて
マイフレンドとか言うて近寄ってきても
スルーして接客を続けている。

マイフレンドとか、マイカスタマーとか
ほんま、ええ加減にせえよ。



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