2019年4月7日日曜日
顔で泣いて、心で・・・
ジュリアは、以前は私たちの上司、
化粧品売り場のマネージャーをしていた。
それはそれは悪評高いマネージャーで
嫌味で、意地悪で
威圧的で、無礼で
影ではみんな、彼女のことを
独裁者とあだ名していた。
もっとも、扱いにくい女たち(ゲイも含む)が
三十人以上集まっている化粧品売り場をまとめて行くには、
それなりのやり方が必要なんやろう。
しかし、ひどい言い方になるが、
運良くリーダーになったものの
実力がなく、部下から信頼も尊敬もされへん人は
恐怖政治を敷くしかしょうがないんやろな、
と私は思っていた。
私ら平社員は上司から評価されるわけやが、
うちらかって、ちゃんと上司たちを見ているのだ。
私の同僚のハンナも、
ジュリアを蛇蝎のごとく嫌っていた。
ハンナは毎日、ジュリアのことをボロクソに言うていたので
そらもう、藁人形作る勢いで嫌いなんやろなぁ、と思っていた。
そんなある日、ジュリアの転勤が発表された。
それは異例なまでに突然で、
栄転という発表やったが、ジュリアの曇った顔と
周りのマネージャーの異様な雰囲気で
お祝いムードでないことは誰にもわかった。
ジュリアの恐怖政治が行きすぎていて
本社に従業員たちから苦情が入ったのも
原因の一つやないかと思う。
「今日がこの店での最後の日です」
とジュリアが発表した途端、
あんなに悪口を言いまくっていたハンナが
「オウ ノー!あなたがいなくなるなんて、寂しいわ」
と言いながら、誰よりも先に
ジュリアにハグしに行ったのだ。
え、ようわからんのですけど・・・
と思いつつ、あのハンナがハグしたんやったら、
しょうがないと思ったのか
他の美容部員たちも、ジュリアにハグしに行った。
私だけぼさーっと立っているのもおかしいから、
その場の流れで、私もジュリアにハグをする。
嘘くさいなぁ、と自分で思いつつ。
その後、ジュリアがフロアからいなくなると
「あー、ほんま良かったわ!ジュリアがいなくなるなんて
夢見てるみたい!!!」
とハンナは大喜び。
アメリカの女たちは
顔で笑って心で泣いたりなんてしないのだ。
顔は泣いてるのに、心は高笑い。
これがアメリカ女の平常運転やでな・・・
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