うちの若いもんに何を・・・

失業してから、

なんの因果かマッポの手先、

あ、違う（昭和か）

高校生や大学生のバイトたちと

一緒に働くことになった私。

大人はマネージャーたちと

私ともう一人のおばさんだけ。

でもね、若い子たちと働くのって、

そう悪くもないのよ。

仕事は簡単やけど、きついので、

すぐに辞める子も多いのやけど、

残って頑張ってる子は

ほんま、みんな良い子たち。

みんな可愛い。

これが生まれて初めての仕事、

なんて子もたくさんいてるわけで、

優しく見守ってくれる大人ばかりかと思いきや、

若いからってなめてかかってくる客もいてるんよね。

まあ、お金もろてんやから、

しゃーないと言えば、しゃーないが、

この子らは働いてるとはいえ、

まだ未成年。

親御さんから預かってる大切な子供らやで、

うちら大人が守らんとあかんやん。

客にごちゃごちゃ言われてると、

うちの若いもんに何さらす？

て感じで、

オバハンはつい首を突っ込んでしまう。

 

でも、まあ私が守るまでもなく、

みんなしっかりしてるねんけどね。

最近人気のシステムに

カーブサイドピックアップっていうのがあって、

あらかじめ注文した品物を、

お客さん自ら駐車場まで受け取りに来て、

それを店員が車まで持って行くというシステム。

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突然いろんな受け取り方法が出来たから、

店側はかなり混乱してて、

私もカーブサイドピックアップを

他のレストランで利用することがあるけど、

待たされることが多いねん。

店に電話かけるまで、運んで来てくれへんとか、

挙げ句の果てには

店の中まで取りに来いって言われたり。

コ　〇〇でお客さんが来てくれへんから、

色んなテイクアウトの方法が出来たのは

店側としては嬉しいし、取り入れたものの、

現場が人手不足でついて行ってない

って感じとちゃうかな。

「あ、あの白のレクサスのお客さん、

めっちゃ怖いねん、いややわぁ」

と、カーラが言うので、

カーブサイドピックアップは

私の担当ではないけれど、

（手の空いてる時は手伝うが）

「そうなん？そんな嫌な奴なん？

ほな、私が行くよ」

「ほんまに？ありがとうじぇに！」

まだ十七歳のカーラは

真面目でよく働く子で、

センシティブな性格。

お客さんにきつく言われると

すぐ涙目になってしまう。

 

「お待たせしましたぁ」

と持っていくと、

不機嫌を絵に描いたようなジジイが。

こいつか、うちのカーラを涙目にする奴は。

「どんだけ待たせるねん！もう８分も待ってるっ！」

いきなり怒鳴るしw

「すみません」

「まさか、この料理もキッチンに放置されてて、

すっかり冷めてるとかちゃうやろなっ！」

知るか。

料理が冷めてたら、怒るのもわかるが、

まだわからんうちから、

何怒鳴っとるねん。

見ず知らずのジジイに

いきなり怒鳴り散らされる筋合いはない。

「知りません」

と答えた。

手に持った感じは十分に温かかったけど、

シワだらけの顔を真っ赤にして怒ってるジジイ的には

冷たく感じる可能性もあるし、

え？ない？w

「この店はいっつも待たせるし、

冷めた料理持って来やがる！」

いっつもってw

ほんなら、なんで

いっつもここに来るねんw

「そうなんですかぁ、それはひどいですね。

確かめてみたらどうです？」

「言われんでも、確かめるわい！」

袋からサンドイッチを取り出すと

包み紙をビリビリと引き裂き始める。

「どないです？」

「・・・ふんっ」

そやから、どないやねん。

次はスープカップを手に取って確かめる。

「どないです？冷めてます？」

「・・・ふんっ！今回はましやな！」

「気に入らんのやったら取り替えますよ？」

「ましや言うてるやろ！」

「そうですか。お待たせしたのは申し訳ないですけど、

お料理が大丈夫なら良かったです〜。

次にお料理の温度に文句つけたい時は、

先に確かめてからにしてね！」

ジジイが次の言葉を吐く前に、

Have a nice day!

と、ウィッキーさんのごとく

軽やかに、銀のお盆を振り回しながら

立ち去ってやった。

毎回、毎回、

うちの若いもんを、

お前の不機嫌の吐口にされてたまるか。

　

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