2020年11月9日月曜日

微笑みがえし1


私がまだ某高級デパートで働いてた時の話。


美容師さんが、髪の毛を切ったり、
パーマをあててる間、
お客さんの話を聞いてるのと同じように、
アメリカの美容部員もお客さんの話を聞く。

お客さんなので、絶対反論しないし、
何を聞いても、
へー!すごーい!わーお!と
キャバ嬢のごとく反応する。

だって、うちらはお客さんにお化粧しても、
商品買うてもらえるとは限らんし、
一時間くらいかけてメイクして、
なんも買わんと帰られるとか、
普通にあるから、一生懸命媚び売るわけ。
 
パーティーに行くとか、
デートに行くとか、
そういう時に化粧品売り場に寄ってくれて、
フルメイクを頼んでくれるんやけど、
こっちはメイクしてお金もろてるわけちゃうからね。

商品売ってなんぼやから。




メイク中は、難しい注文色々付けられて、
それでもってマスカラの一本も買うてもらえず
帰られてしまうと、
あとでマネージャーにごちゃごちゃ言われるのだ。

「あのお客さん、何買うて行ったん?!」

「あのお客さんなんぼつこた?」

「あんなに時間かけてメイクしたのに、
あんたなんも売らんかったん!?」

「なんも買わん客に時間使ってんちゃうで!」

などなど。


時間かけて、化粧して
客からは何も買うてもらえず、
マネージャーからは無能扱い、
泣きっ面に蜂とはこのこと。

つづく

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